村上春樹氏のスピーチ



東京新聞の記事に村上春樹氏の去る六月九日のスペイン・カタルーニャ国際賞授賞式のスピーチの全文が掲載されていた。

 その中で、特に感動した部分を書きとめておきたい。
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原子力発電を推進する人々の主張した「現実を見なさい」という現実とは、実は現実でもなんでもなく、ただの表面的な「便宜」に過ぎなかった。それを彼らは「現実」という言葉に置き換え、論理をすり替えていたのです。

我々は技術力を結集し、持てる叡智を結集し、社会資本を注ぎ込み、原子力発電に代わる有効なエネルギー開発を、国家レベルで追求すべきだったのです。「原子力ほど効率の良いエネルギーはない。それを使わない日本人は馬鹿だ」とあざ笑ったとしても、我々は原爆体験によって植えつけられた、核に対するアレルギーを、妥協することなく持ち続けるべきだった。核を使わないエネルギーの開発を、日本の戦後の歩みの、中心命題と据えるべきだったのです。

それは広島と長崎で亡くなった多くの犠牲者に対する、我々の集合的責任の取り方となったはずです。日本にはそのような骨太の倫理と規範が、そして社会的メッセージが必要だった。それは我々日本人が世界に真に貢献できる、大きな機会だったはずです。しかし、急速な経済安易な基準に流され、その大事な道筋を我々は見失ってしまったのです。

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今日、長崎の原爆の日の記念式典が行われ、テレビで放送されていた。
それをみて、この66年間の取り組みは、なんだったのかと思った。

原爆さえなければ、ほんとうに、なにごともなく、幸せに暮らせるのか?

本当は、人類にとって、「核」というのが、けっして、共存できないということのほうが、重要な部分だったのではないか?

我々は、中途半端に「脱原発」だのなんだの、言ってる場合ではないと思う。もう、それしか、ないのだ。その方向性を忘れては、いけない。
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by keika-ch32 | 2011-08-09 15:57 | エッセイ

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