「鹿鼎記」の感想

  長い物語だったが、この作者のいままでの作品と比較しながら、十分に楽しめた。

  最後のところで、皇帝(小玄子)と小宝(小桂子)との心の会話があったが、とても印象的だった。

  この世の中、まじめで正直者がかならずしも、報われるわけではない。
  また、権力のあるところには、かならず、不正はつきもの。
  皇帝は、自分の周りの者も、本当に信用のおけるものは、なかなかいないと知っている。それゆえに、嘘もつくし、悪さもするが、それでも、義理がたいところのある小宝のほうが、信じられる。
  だから、いろんなことがあっても、彼を許してきた。

  小宝は、皇帝側につくか、その敵対側につくかと、いつも板ばさみになってきた。
  どちらも、適当に折り合えばいいのにと思っていた。
  だが、どちらも、彼には、そうさせてくれない。
  だから、彼は、両方から姿を消す。

  島での生活で、隠遁しているのは、とても退屈で、耐えられないと、いったんは、皇帝のそばにもどったが、やはり、彼は、隠遁することにしたのだ。

  この作家の最後の作品だけに、その人の人生観のようなものを感じる。

  ふつうの人間は、こういう数奇な人生は経験しないだろうが、それでも、考えさせられることが多かった。

  
by keika-ch32 | 2009-07-28 12:12 | エッセイ

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